Mobile World Congressに出てみて気づいた海外展示会出展で失敗しないための10のポイント

こんにちは、塚田です。
私はマーケ担当なので、本日は技術ではなく展示会のお話です。

先日のプレスリリースでもご案内させてもらいましたが、2月25日から28日までスペインのバルセロナで開催されたMobile World Congressに出展をしてきました。

Mobile World Congressは世界最大のモバイル関連の展示会で、世界200ヶ国から7万人以上のモバイル業界の要人が一同に介します。その中でアシアルはJETROさんが主催するジャパンパビリオンの一角にMonacaのデモコーナーを設置しました。

期間中は日本でもMWC関連のニュースが多くされていたいたので、すでに現地の様子はなんとなく見聞きしているのではないかと思いますので、今回は実際にブースを出展してみて気づいた事を共有させてもらいます。我々も初めてのことで右も左もわからず、国内の展示会との違いに困惑することも多々あったのですが、今後出展を検討されている方に多少でも参考になれば幸いです

1)展示会は表の顔、裏ではガチの商談場

日本での展示会とくらべて、MWCは規模も違いますがあきらかに雰囲気が異なります。一番の違いは、「展示」の場ではなく「商談」の場だということです。しかも相当ハイレベルな商談。もちろん、端末メーカーなどを中心に新製品の展示を行なっていたりするのですが、その裏には展示スペースと同等かそれ以上の広さの応接スペースが用意されています。さらに、1〜8まである展示ホールの1と2ホールに関しては、各社が商談のために借りたスペースに巨大な商談ルームが設置されていました。MWCを始めとした海外の展示会に出展、ないしは参加をされる方は、「商談」を強く意識して準備をしましょう。

2)事前のアポイントで半分以上勝負が決まる

基本的に、参加者も出展者も事前にアポイントを決めて商談を進めていきます。MWCへの参加に慣れている方の話を聞くと、毎日何件ものアポがずらっと入っていました。よくよく考えてみれば7万人の参加者のなかから商談相手を偶然見つけるという確率は非常に低いですよね。主催者側からも参加者とのアポ調整用のツールが提供されており、我々もこのツールを使って何人かの商談相手と出会うことができました。逆に、当日ブースで待っているだけでは、よっぽどコマ位置が良くない限り、暇な方しか捕まえることが出来なかったりするとおもいます。

3)ちょっとしたノベルティが効果バツグン

多忙な業界の要人の気を引くのに効き目があったのがちょっとしたノベルティ。ただで飲み物を提供しているブースには常に行列ができたりしてました。我々のブースでも、一番目立つところにキャンディーを置いたところ、面白いように人が集まってきました。日本から持っていったオリジナルキャンディーは2日目で使い果たし、近くのスーパーに追加買いだしに行かなくてはならないほど。キャンディーがきっかけで、商談につながったケースも結構ありました。

商談の合間をぬってくる忙しい参加者の興味をひくには、展示内容の充実もさることながら、ちょっとしたお土産が有効だったりします。

4)その場で提案、次の約束

出展者、参加者ともに企業規模は様々ではあるものの、何かしらの意思決定ができる人がほとんどです。日本でのの展示会の様に、とりあえず名刺交換、個別フォローは後ほど、などと悠長な事をやっていると、参加者の記憶にもほとんど残りません。相手の事業内容や課題を聞き出してビジネス上の接点をさぐり、その場で何らかの提案をして次のアクション(Skypeミーティングなど)を決めましょう。英語力だけでなく、その場での提案力がとても重要になると思います。

5)ブースめぐりは後半戦で

特定の商談目的を持たずに各出展社のブースを見て回るのであれば3日目か4日目がオススメです。多くの出展者は初日と2日目に「本気のアポイント」を詰め込んでいるので、ふらっと立ち寄った他の出展者の相手をしている時間はありません。アポがなければゆっくり話を聞くことも難しいと思います。ところが、後半、特に最終日になると予定されていた商談はすでに終わっているので、各ブースは皆リラックスモードに入ります。このタイミングでブースに立ち寄ると、出展社の人たちも時間に余裕があるので、場合によってはCXOクラスの方が丁寧に説明をしてくれます。期間中に、気になる出展社を見つけたら後半に訪問することをおすすめします。

6)ネットワーキングイベントが充実

新しいビジネスパートナーとの出会いの場として意外と有効なのが展示会が終わった後に行われるネットワーキングイベント。各国の業界団体だったりAmazonなどの企業がホストしているイベントなど毎晩バルセロナ市街地で行われています。このようなイベントはターゲットがある程度絞られているため、比較的ビジネスの接点の強い方と出会うことができます。普段、東京などで行われているネットワーキングイベントとことなり、母集団は世界中からわざわざMWCに参加しにきたモバイル業界の要人たちです。我々も世界的なモバイル系の起業家を中心としたコミュニティのMobile MondayのGlobal Meetupのスポンサーをさせていただき、多くの出会いが得ることができました。

7)会場のネットワーク環境はつながれば儲けもの

これは日本の展示会でも同様の問題が発生することは多々あるのですが、特にMWCの会場のインターネット接続環境は最悪でした。無線LANや3接続はほぼ出来ないと思っていたほうが良いかもしれません。有線での接続も非常に遅かったり不安定だったりします。Webサービスやアプリの場合、インターネット接続ができないとデモすらできないという状況に陥ってしまうので、ローカルで動かしたり、ムービーを用意しておくなどの対策が必要だと思います。ちなみに、某大手企業のブースでのデモ環境を聞いた所、サーバを含めて全て会場に持ってきて現地に仮設のデータセンターを作ってしまっているとのことでした。なかなか、ここまではできませんが、何らかのバックアッププランは用意しておいたほうが良いでしょう。

8)新参者には厳しい現実

我々はJETRO主催のジャパンパビリオンの一角に出展をさせてもらったため、ホール入口近くの絶好の場所に出展をすることが出来たのですが、単独で出展をするとよほど大きなブースを構えない限りホール奥の端の方に追いやられてしまいます。今年にかけては会場が広くなったのでブース拡張や移動なども多数あったようなのですが、来年は今年と同じ会場なので、新規出展者参加ができたとしても大きなブースを抑えることは困難だと思われます。

9)ホテルの価格は通常の5倍、しかも満室

長らく不況と高い失業率に悩まされているスペインですが、このMWC開催期間中だけは様相が変わります。世界中からモバイル業界のVIPとそれを待ち受ける企業のスタッフがバルセロナに押し寄せるわけですから、高級ホテルにとっては稼ぎどき。とんでもなく高いレートでも、あっという間に予約が埋まっていきます。我々も6名での参加だったのですが、すでに昨年末の段階でリーズナブルな価格のホテルが見つからなかったため、貸しアパートを1週間借りるという策に出ました。合宿生活のようでしたが、なかなか楽しかったですよ。出展にかぎらず、来年のMWCへの参加を検討されている方は、ホテルの予約は早めに動きましょう。

10)体調管理が何よりも重要

海外での展示会は長い移動時間の上、一日中立ちっぱなしで英語漬け、また数々の不慮の事態への対応、時差ボケ、時差のある日本との連絡、なれない食べ物などなど精神的にも体力的にもかなり厳しい状況が続きます。前半は気が張っているのでなんとか持ちますが、後半や会期後にガクッとダメージが出て体調を崩すことがあるようです。今回のアシアルチームも、展示会終了後に体調不良になったり、帰国後に風邪をこじらせるメンバーもいました。特効薬はありませんが、現地では十分な睡眠とバランスの良い食事をとって体調管理に努めましょう。

以上、MWC出展に際しては、色々と大変なことはありましたが、海外展開のきっかけ作りとしては十分な効果はあったと思います。実際に、期間中で英語圏のユーザーも増えましたし、面白そうな提携候補先にも出会えました。

製品、サービスの海外展開を考えられている方がいましたら、是非、参加者ではなく出展社として海外展示会に出てみてください。多くの発見があると思いますよ。